映画で学ぶ教養講座『マグノリアの花たち』

監督:ハーバート・ロス
製作:レイ・スターク
脚本・原作:ロバート・ハーリングマグノリアの花たち』(マグノリアのはなたち、Steel Magnolias)はロバート・ハーリングの戯曲。アメリカ合衆国南部の小さな町を舞台に、固い絆で結ばれる女性たちの姿を描いた作品。

「糖尿病の人は結婚や妊娠・出産が難しい」と言われていた1960年代ごろが背景の映画。この時代は、糖尿病の治療がまだ十分でなかった。

そのため、妊娠・出産に伴いさまざまなトラブルが起きていたようだ。


【映画鑑賞を深める知識】として、
イースターエッグとウサギ>がある。
イースターとは復活祭。服を着たウサギは、カラフルな卵やキャンディー、お菓子、おもちゃなどをカゴに入れ、子ども達の家に届けるという、サンタクロース的な存在として現れる。

イースターに行われるイースターハントとは、カラフルに装飾した卵を至る所に隠し、まるで宝探しのように一斉に探して集めていくという、簡単なゲーム。
この映画では、子供たちが、庭でイースターエッグハントが行われるシーンと、大人がウサギの着ぐるみをまとうシーンがある。
イースターの卵は、昔から、生命や復活を象徴するものとして使われている。この卵を、「イースターうさぎ」が運んできたとされ、子だくさんのうさぎは、この場合、古代より、繁栄・多産のシンボルでもある。
イースターで、友人に赤く染めた卵を贈る習慣はマグダラのマリアが、ローマ皇帝の元に赴き、赤い卵を贈ったことを起源とする説がある。
これは「イエスが天に上げられた」ことを示し、墓と、そこからキリストが抜け出すことによって復活する命を象徴しているともいわれている。
ひよこが卵の殻を破って出てくるように、キリストも死という殻を破ってよみがえられたことを象徴している。また、卵をカラフルに装飾する由来は、春になり多くの花が咲くこと、新たな芽吹きをお祝いしているともいわれている。

この作品が生まれたきっかけは、原作者ロバート・ハーリングの妹スーザンの死である。1型糖尿病患者だったスーザンは出産のリスクを認識したうえで、なお子どもを持つことを望み、そして、産後に合併症を併発して亡くなっている。

                      

                             (稜)

 

シンクタンク・ヨコハマ歴史コラム「江戸時代の手」

江戸時代の古写真を見ていると手を隠しているものが多い、どうしてなのだろうか。

「手を隠す」「手を出す」のような表現があるが、手はどうやら、別人格で

下品なものと解釈されているからだと説明されているものがある。

また、女性の白く細い指をたとえて言う「白魚」という言葉があるが、この表現などは江戸時代から使われているようだ。

ここでは下品なものではなく、むしろ、手に独特な美意識を求めている。

そこで、美しいから、隠すということも考えられる。「秘すれば花」である。

ほかに、このような記事も読んだ。

『写された幕末 石黒敬七コレクション』(石黒 敬七 著 明石書店)では、

写真の説明に「手が大きくなると迷信され、揃って手を袖のなかに隠す武士と遊所の女達。」とある。『歴史読本 20145月号 古写真集成 幕末・明治の100人』では、写真に写ると手が大きくなる、また、手によくないことが起こるという俗信があったという説が載っている。

これなどは手が大きくなることを恐れた人々の感情だ。

浮世絵の美人画の異様に手は小さく描かれている。

手が大きい、小さいが関係しているのだ。

 

「手によくないことが起こるという俗信」では、このようにも考えられる。

「霊柩車を見たら、親指を隠せ」

呪いの言葉のように、私の子供心に植え付けられた。親の死に目に会えない、親が早く死ぬと教わった。町で霊柩車を見るたびに、随分と長いあいだ、反射的に親指を隠してしまっていた。

どうしてか。

江戸時代の国学者、小山田与清の『松屋筆記』によると、親指が霊的なものの出入り口と考えられていたというのだ。

親指の爪の間からは魂魄が出入りするため、死霊や穢れのようなものが入ってこないために親指を握って見えなくしろということからきた風習らしい。

そのような考えの背景が、時代としてあったとしら、写真が広がっていくなかで、霊的なものの出入り口を塞ぐ意味で、手を隠していたのかもしれない。

坂本龍馬の写真でも、手を隠しているが、あれは何の意味があったのだろう。

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御礼 「古写真で旅する江戸・明治(1)」無料公開講座終了

平成30年1月12日(土)の横浜市栄公会堂で開催された無料公開講座は、申込者多数となり、抽選となりました。
また、大盛況のうちに、終了となりました。
参加していただいた方には、大変、感謝いたしております。
アンケートの評判もよく、私たちの行動の支えとなる言葉を多数、
いただきました。

「豊富な写真を元に面白く解説された。次回、箱根までの講話を期待します。」
「気楽で大変よかった。こんな楽しい講義は実に興味をそそります。次回も聞きたいものです。」
「気にとめていなかった小さなことにもそれぞれ意味があることに気づかされました。おもしろかったです。」
「歴史にうとい私がとても楽しくお聞きしました。また勢是非来たいです。有難うございました。」

「大変楽しく参考になり、時間が少ない。あっという間に終わってしまった。続きを是非お願いいたします 話だけではなく写真も一緒なので特にわかりやすく興味が沸きました。」

「十数年前に講師と東海道を歩きましたので興味深く先生のお話は拝聴させていただきました。江戸時代の歩き方、座り方(生麦事件についてのお話の中で)は初めて知り全体的に楽しくありがとうございました。」


などなど、
すべてを紹介することができませんが、名前無記名で書かれたこのようなお言葉は、
我々にとって、どんなに励みになることか・・。

次回、3月も、公開講座を予定しております。
また、今回の「古写真で旅する江戸・明治」も、続編も開催する予定でおります。
今後とも、よろしくお願いいたします。

 

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シンクタンク・ヨコハマ<明治の子供たち>「古写真で旅する江戸・明治(1)」無料公開講座より

アメリカ人写真家アーノルド・ジェンス(Arnold Genthe)とは、

独学で写真を学びサンフランシスコのチャイナタウンでの麻薬中毒者たちを撮影した後、作品が評価され写真家として活動をはじめた人物だ。

この子供の写真は1908年に日本に訪れた際に撮影したもの。

 

1908年、明治41年とは、どんな時代か。

日清戦争1894年、日露戦争1904年に勝利したあとの年。

1889年には法制度上、男性に対して国民皆兵が義務付けられ、

甲種合格の者はほとんどが兵隊さんになっている。

楽天家たちは、そのような時代人としての体質で、前をのみ見つめながらあるく。のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶( いちだ)の白い雲がかがやいているとすれば、それをのみ見つめて坂をのぼってゆくであろう」

その時代の人間を、そう表現した司馬遼太郎坂の上の雲」の舞台になった年の少しあとの時代。

 

この年、まだ、明治維新の元老も生きていたが、赤旗事件がおこり、それをきっかけに、社会主義思想の弾圧が厳しくなりはじめる。

この年、22歳の平塚雷鳥は、不倫で心中未遂をおこして、新聞に写真も載る。

清では、愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)が即位する。

日露戦争に批判的な考えの夏目漱石の「三四郎」が出版される。

 

1908年、明治41年は、ブラジル移民の第一陣の年である。

いったい、ブラジル移民とは、なんだったのか。

アメリカは南北戦争で、奴隷解放を掲げた北部の勝利に終わる。

しかし、この奴隷解放の波は南米にも押し寄せはじめる。1888年には、奴隷制度の廃止がブラジルでも実現する。

結果、アフリカ大陸からの奴隷によって支えられてきたブラジルの大規模プランテーション農家も、貴重な労働力であった奴隷がいなくなることとなる。

ブラジルの農家は、労働力不足に悩みはじめる。

日本では、日露戦争に勝利したものの、賠償金が得られない状況。

戦争での重い出費負担だけが残ってしまう。

景気は悪化、日本国中が、経済的な困窮がおこり、政府は、国民の面倒をみられなくなってくる。

そんな時代背景のなか、皇国植民会社はサンパウロ州との間に契約を締結して、ブラジルへ移民を多く日本から送り出していった。

 

その時代の子供たち。

この子たちは、兵隊さんになったのか、ブラジル移民へ移民したのか。

翌年には、伊藤博文がハルピンで安重根に暗殺される。

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無料公開講座

(日時) 2018年1月12日(金)  13時受付 13時半開演(約90分)

(場所) 横浜市栄公会堂 2号会議室 根岸線本郷台駅」下車 徒歩9分

(講師) 笹目 稜 (著述家)

(略歴)「歩く歴史講座」ほか、社会人のための寺社を巡る歴史講座を長年担当、
歴史を含めた幅広い講演、執筆活動を自治体等で行っている。
著書に「蓮池」角川出版ほか

(参加希望者連絡先)

(〒231-0062)
神奈川県横浜市中区桜木町1丁目101番地1クロスゲート7階 
シンクタンク・ヨコハマ」

(連絡先)045(514)9973 吉田

 

 

シンクタンク・ヨコハマの「古写真で旅する江戸・明治(1)」無料公開講座

 今回のテーマは、江戸から明治にかけて来日した欧米人(アーノルドやベアドなど)が撮った写真をもとに、その背後に隠れた歴史を分かりやすく解説いたします。今回の講座のテーマは、タイムトラベラーになって異国のような「日本」を発見すること。

 

(日時) 2018年1月12日(金)  13時受付 13時半開演(約90分)

(場所) 横浜市栄公会堂 2号会議室 根岸線本郷台駅」下車 徒歩9分

(講師) 笹目 稜 (シンクタンク・ヨコハマ所属)

(略歴)「歩く歴史講座」ほか、社会人のための寺社を巡る歴史講座を長年担当」

歴史を含めた幅広い講演、執筆活動を自治体等で行っている。著書に「蓮池」角川出版ほか

 

シンクタンク・ヨコハマは、あらゆる分野(違法や公序良俗に反するものを除く)

において知的探求者を自任する人が集い、交流する場を提供し、自らも発信するシンクタンクです。国際港都 横浜の場で、自由な風に吹かれつつ、文化を育むのが私たちの願いです。
シンクタンク・ヨコハマは、知的好奇心を共有したい市民の皆さんを対象に公開講座を開いています。誰でも参加できる無料公開講座、受講のご希望の方は、連絡先まで、ハガキもしくは封書にて、住所、氏名、連絡先(メールアドレス・電話番号)を記入して申し込んでください。入場証を返送いたます。
* 応募者多数の場合は抽選にさせていただきます。 (平成29年12 月 20 日の消印 有効 )

(〒231-0062)
神奈川県横浜市中区桜木町1丁目101番地1 クロスゲート7階 
シンクタンク・ヨコハマ」 1月 無料公開講座希望

 

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